「モノづくり」と「ヒトづくり」、たった一つの相違点

あなたは今まで、どんな人にどんな場面で、どんなことを教えてきましたか?会社では若い新入社員や転勤してきた年上の同僚、家に帰れば子供だったりと、毎日いろんなことをいろんな人に教えているのではないでしょうか?そういう僕は子供こそいませんが、会社では立場上部下に仕事のノウハウを教えることもあれば、逆に部下から教わることもあります。

そんなある日、通勤バスに揺られながらふと思ったのは、「モノづくりも会社の人材育成であるヒトづくりも、すごく似ているな」と言うことでした。

そんな訳で、今回は「モノづくりとヒトづくり」の共通点と違いを考えてみようと思います。

モノづくりは、こんな感じ

現在の僕の趣味は「レザークラフト」です。中高生の頃は「ガンプラ」にどっぷり浸かり、仕事を始めてしばらくしてから「ガンプラ」に再度はまりました。そんな感じで、根本的に僕はモノを作るのが好きです。そんなモノづくりが好きな僕が、モノづくりはどんな風に進めていくのか、簡単にまとめてみました。

設計図を用意する

まず一番大事なのは「設計図」です。ガンプラにしてもレザークラフトにしても、基本的には同じです。最終的にどんな形になるのか、どんな部品が必要か、どんな手順で組み立てていくのか分かっていなければ、イメージ通りのものが出来上がりません。

ただし僕の経験上、設計図があっても見本と全く同じものになるとは限りませんが…。

材料集め

設計図に沿って組み立てていくのに必要なものを集めなければなりません。ガンプラならば接着剤やニッパー、塗料などの工具類、レザークラフトならば材料となる革や糸と針など、作るものによって様々です。共通しているのは、どこにでもあるもので代用可能なものもあれば、専用工具でなければうまく作れない部分もあります。

用途によって必要なものを用意しなければなりません。

組み立て

設計図と材料が揃えば、手順に沿って組み立てていきます。最初のうちはパーツを切り出したり繋げたり、それぞれの部分だけを見ても何だか分からない状態ですが、作業が進むにつれて、全容が分かってきます。

めでたく完成

組み立てを続けていくと、最後に完成品となります。形が出来上がったっところで、最後の仕上げをすることになります。この仕上げに一番時間をかける場合もあります。

最後の仕上げを終えた時の充実感や満足感は、何とも言えません。

旋盤作業

ヒトづくりは、こんな感じ

さて、次は「ヒトづくり」です。これは、僕もあなたも経験していたり現在進行中だと思います。特に仕事でのことを例にしていますが、仕事以外でもほぼ同じだと思います。

まず採用

会社では、まず必要とする人材を採用します。採用する時期により新卒であったり経験者であったり、技術系であったり事務系であったり様々です。採用試験や面接で条件に一番合った人を採用することになります。

キャリアプランづくり

採用された人は、必要とされる部署に配置されます。そこでキャリアプランが作られます。会社によって違うと思いますが、即戦力として必要とされるスキルは短期間で、将来必要になってくるものは別のタイミングで、将来の経営幹部候補であればそれに見合った配置計画など、その人に合わせて設計されます。

教育

キャリアプランが出来上がれば、それに合わせて必要な教育をしていきます。新入社員には仕事を一から、5年目であればその年代に必要なもの、管理職になれば管理職に必要なスキルなど、その時のポジションに合わせた勉強があります。仕事を通して勉強する「OJT」もあれば、社内外の講習や研修を受けたりする「off-JT」もあるでしょう。

そしてずっと勉強

仕事をしていると、いつまでたっても初めてのことに出会います。初めてのことに出会うというのは、勉強する余地がまだあるとも言えます。僕の先輩方も、熱心に勉強している人たちがたくさんいます。それを見ていると、「まだまだ勉強がつづくなぁ」と思います。

勉強

「モノづくり」と「ヒトづくり」の共通点

ここまで「モノづくり」と「ヒトづくり」の流れをまとめてきました。すると共通点があることに気付きますよね。

まずは「材料集め」=「採用」と言う公式が成り立ちます。会社が必要としている人材は、ちょうど作品を作るための材料に当たります。必要な材料であっても、最初の状態は完成予想とはかけ離れています。

次に「設計図」=「キャリアプラン」と言う公式が成り立ちます。その人をどう育てていくかというものがキャリアプランなので、ひとつの作品を作るために必要な設計図と同じで、人材育成の設計図と言えます。

その次には「教育」=「組み立て」が成り立ちます。設計図であるキャリアプランに則って教育していくことで、目標とする人材に近づけていく工程になります。

こう考えると、ヒトづくりとモノづくりは同じものと考えられます。

「モノづくり」と「ヒトづくり」、大きな違いは「ヒトづくりに完成はない

さて、前項ではモノづくりとヒトづくりの共通点を挙げましたが、大きな違いが一つだけあります。それは「ヒトづくりに完成はない」と言うことです。

会社でのキャリアプランやその他の人生設計で、目標とする姿を描くことはできます。僕もそうですが、きっとあなたも「将来はこうなりたい、こういう生活を送りたい」と思っているでしょう。けれど、人生は思うようには進みません。

会社で部下の育成を任されても、部下が思ったように育つことも滅多にありません。だからと言って部下の育成に失敗したのかと言うと、その結論はすぐに出ては来ません。最初の数年は使えないと思っていても、10年先に才能を開花させるかもしれません。目標としていた姿とは違っていても、自分自身や周りから認められるようになることもあります。

そういう意味では、ヒトづくりに決まった完成形はないですし、自分自身を含めたヒトづくりは一生続いていくものだと思います。

まとめ

いかがでしたか。ヒトづくりとモノづくりは、似ているところも多くありますが、決定的なことが違います。それが

「ヒトづくりに完成はない」

と言うことです。

早くに才能を開花させて社会的に成功する人もいれば、遅咲きと言われる人もいます。会社では平均的でも、プライベートや趣味の分野では飛び抜けている人もいます。

会社で働く以上は会社の必要とする人材になる努力は必要です。僕たち会社で必要とされる人材を育成する側は、部下たちの可能性を信じて諦めずに育てていくしかありません。彼らと一緒にいる時間はほんの一時ですが、その間にできることは惜しまずにやっていき、僕も彼らから吸収できることは、しっかり受け入れていこうと思います。

それでは、この辺で。

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