【管理職】仕事のマニュアル化はデメリット大?いえ、教育に使えます

あなたの会社には、仕事に関するマニュアルはありますか。僕の会社には紙・電子ファイルを問わず、覚えきれないくらい膨大なマニュアル類が存在しています。それらは日常的に良く使うものから、数年に1度しか見ることがないようなものまで、千差万別です。そしてそれらは、今も新しいものが作られたり、内容を見直されたりしながら、そのページ数を増やしていっています。

このマニュアル類、会社で仕事をするのに必要なものだとは思いますが、人材育成という面では役に立っているのでしょうか。今回は、仕事をマニュアル化することが、本当に人材育成に繋がっているのか考えてみます。

仕事をマニュアル化する理由

僕は技術系の仕事をしていますが、入社5年目で初めて転勤しました。転勤して間もない頃、滅多にない珍しい操作がありました。その操作には既にマニュアルがありましたが、大雑把にかかれた古いものであり、非常に分かりづらいものでした。そのため、当時の上司が僕にマニュアルを作り直すよう指示しました。その時に出された条件が「誰が見ても分かるものにすること」と言うものでした。僕はその条件を満たすマニュアルにするため、実際の操作や現場のことを調べながら、かなりの時間をかけて作り直しました。

当時の上司の意図は正確には分かりませんが、転勤したばかりの僕にマニュアルを作らせることで、早く仕事を覚えさせることと、マニュアル見直しの一石二鳥を狙っていたのだと思います。

僕も当時の上司と同じ役職になりました。そして、同じ状況になれば部下には同じように「誰でもそのマニュアルを見れば、迷わず操作できるようなもの」を作るよう指示するでしょう。

このように、仕事をマニュアル化する理由は、マニュアルを作る人にとっては内容を精査することで仕事の手順や内容を覚えることにつながり、マニュアルができることで後の人たちが一定のクオリティを保ちながら、スムーズに仕事を進めることができるようになることです。

マニュアル作りの必須ポイント

マニュアルを作るには、必ず守るべきポイントがいくつかあります。それらをまとめてみました。

対象物を正確に表現する

操作するもの・参照するものは、正確に表現しなければなりません。「1」と「I」などの間違えやすいもの、枝番のついているものなどは、しっかり明記しないと後から使う人が迷う原因となり、最後はトラブルや事故につながります。

判断基準を明確にする

操作や作業終了・異常の有無を判断する基準が曖昧では、いつまで・どこまで・どれだけやればよいのか分かりません。必要以上の時間や労力を使うことなく、求める結果を得るには明確な基準が不可欠です。

操作量には「量」以外の情報も必要

僕のように技術系の場合は、現場で何かを操作することがあります。その時どうしても「微開」や「調整開」など、数値として表現しきれない場合があります。そんな時は他の情報、例えば温度計や圧力計の指示など、操作の影響を受ける場所の状態がどう変化するかを記載することで、間接的に操作量の良否を判断することができます。

操作量の表現が曖昧にならざるを得ないときは、より多くの情報を記載することで、操作量を把握することができるようになります。

可能であれば画像も載せる

文字以上に画像のほうが分かりやすい場合もあります。そんな時は迷わず写真に収めてマニュアルに載せましょう。実物と見比べることで、間違うリスクが格段に減るはずです。

マニュアル化のメリット

マニュアル化することで得られるメリットをまとめてみました。

作業を標準化できる

マニュアルに沿って作業をすることで、誰でもある程度同じクオリティで結果を出すことができます。もちろん、熟練すれば速さや正確さが向上しますが、基本的には新人とベテランの差はなく同じ結果を出すことができるようになります。

いつでも誰でも同じことができる

頻繁にする作業も数年に1度の作業も、マニュアルさえあれば誰でも迷うことなく同じように作業を進められます。ただし、設備や作業工程が変わっていないことが前提条件になります。

人に教えやすい

なにも資料がない状態で新人や転入者に作業を教えるのは、非常に大変です。けれど、マニュアルを見ながら説明をすることで、教える側と教わる側双方の思い違いを減らすことができます。

マニュアル化のデメリット

何事も良い面があれば悪い面もあります。

管理に手間がかかる

新しく作るときはもちろん、設備や手順の変更があった場合は速やかに修正しなければなりません。修正するときには、全体として整合性が取れているかの確認が必要です。古い内容のままだと、次に同じ作業をする人が間違った手順で進めることになり、トラブルに発展してしまいます。

マニュアル頼りになる

マニュアルどおりに進めても、時にはトラブルに見舞われます。そんな時は、マニュアルに書かれていることだけではトラブルに対応しきれないことがあります。何でも基本や本質を理解していないと応用力がなくなり、大事な場面で思考停止してしまいます。

マニュアルを探せない

いろんな仕事のマニュアル化が進むと、マニュアルの数が膨大となり、必要なものを探すのも一苦労です。その対策として、マニュアル類の整理方法に工夫が必要になってきます。

本当に仕事のマニュアル化は、人材育成につながるのか

仕事のマニュアル化には、前項までのようにメリットとデメリットがあります。それらを踏まえた結論として、僕は「人材育成につながる」と考えますが、それには次のような条件を満たす必要があると思います。

仕事の基本・本質を理解しておく

マニュアルの中で明記されていれば問題ありませんが、そうでなければ大前提として自分の仕事の基本や本質を理解しておく必要があります。
作業のやり方だけをマニュアル通りにしても、それはただ表面をなぞっているだけに過ぎません。それでは突発的なトラブルに見舞われても対処することができません。

マニュアルを信用しすぎない

マニュアルは仕事を円滑に進めるためのツールですが、決して万能ではありません。書いてあることに間違いがあるかもしれませんし、正しくても分かりづらいかもしれません。また、他にも効率的な方法があるのかもしれません。

そういう目でマニュアルを見ることで、作業の本質が見えてきたり、自分の知識の向上につながります。

マニュアル作り以上の勉強はない

新しいマニュアルを作るにしろ、既存のものを見直すにしろ、その作業をする本人が一番その仕事を理解することになります。

現状の手順を洗い出し、実際との相違点を確認して修正し、更に効率的な方法がないか検討し反映する。このような作業をすることで、本当の意味で仕事を理解することができます。

まとめ

この記事を書くまで、僕は人材育成の面で仕事のマニュアル化にメリットがあるかと言うと、デメリットの方が大きいのではないかと漠然と思っていました。けれど、デメリットがあることを分かったうえで、基本や本質を理解して過度にマニュアルに頼らなければ、人材育成の教材として十分機能すると感じました。

あなたの職場に新入社員が配属されたとき、マニュアルを使って教育する場面もあるでしょう。そのときは、この記事が参考になればと思います。

それでは、この辺で。

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