想像力で「備えあれば、憂いなし」

あなたは仕事をするときに、想像力を働かせることはありますか。僕も含めて、多くの人が意識するしないにかかわらず、想像力を使っているのではないでしょうか。

ただ、仕事でもプライベートでも、想像力を働かせることが苦手な人がいます。昔の職場にいた後輩が、そんな人でした。作業予定が何日の何時と決まっているのに、事前の現場確認や手順確認をしないまま当日を迎え、作業に向かう先輩の姿を見てから慌てて後を追っていくのですが、何をしているのか分からずに終わってしまうという、かなり困った人物でした。

そんな場面を何度か目撃した僕は、彼に仕事では想像力やイメージトレーニングが必要なことと、その理由を説明しました。

いつから準備するかは重要な問題

作業で先輩が現場に向かう姿を見た彼(A君とします)、慌てて先輩を追って行きました。戻ってきた彼が現場でどんな様子だったか、一緒に行った先輩社員に聞いてみると、作業内容も操作手順も分かってなかったので、操作させなかったとのこと。ちなみに、この作業は前日のミーティングで今日やることが全員に周知されていました。

こんなことが何度も繰り返されたので、A君と話してみました。

さっきの作業、うまくできた?
A君
先輩が操作しているのを見ていたけど、よく分かりませんでした。
手順書を見ながら、今どの操作をしているか確認しなかったの?
A君
手順書を持っていくの忘れました。
(なるべく詰問口調にならないように)今日この時間にこの作業があることは、昨日のミーティングで言われていたよね。時間はあったと思うけど、確認しなかった?
A君
忙しくて、できませんでした。

ここまでの会話で少し疲れましたが、これだけは言っておこうと思い、気力を振り絞りました。

仕事をするときは、まず全体の流れを考えなければ、準備ができないよ。前日のうちに作業があると言われたなら、その日のうちに必要な確認をしておくことで、当日までに余裕をもって準備ができると想像できないかな。必要な準備ができなければ、安全な作業ができないよ。

そのときA君が理解したかは分かりませんが、僕達の仕事の一つは作業する人たちが安全かつ他の機器に影響が出ないよう準備することです。そのために事前の現場確認と手順書の作成が欠かせません。

僕たちの仕事に限らず、事前準備のできが仕事全体のできを左右するのは、ひとつの真理だと思います。

うまくいく姿をイメージする

あなたも一度は経験したことのない仕事を任されたことがありませんでしたか。僕も何度か経験がありますが、全体の流れをイメージできてそのイメージ通りできた時には、ほとんどの場合うまくいきました。その逆に、行き当たりばったりその場の思い付きで進めると、ほとんどの場合失敗していました。

先ほどの事前準備にも通じますが、仕事に手をつけてから完成するまでの姿をイメージすることで、実際の作業で戸惑うことなく進めることができます。また、何度も繰り返しイメージすることで、プレゼンなどの時は自信をもって説明することができます。自信をもって説明することができると、相手に信頼感を持ってもらえるでしょう。

注意点が見えてくる

作業手順や現場を何度もイメージしていると、時々「あれ?」というポイントが出てきます。それは自分だけではなく他の人も「あれ?」と思う確率が高いところです。そこに何らかの対策をすると、さらに仕事の精度が上がったり、トラブル発生を防ぐことができたりします。

これは、最初にイメージした手順は大まかだったものが、なんども繰り返しイメージすることで、現場の細かいところまで見えてくるようになります。そこで、現場のイメージと手順が一致しないところが「あれ?」になって出てきます。「あれ?」と思えるところは手順とのズレなので、それを修正することが仕事の良し悪しを決める分かれ道になります。

想定問答ができる

報告書やプレゼン資料は作って終わりではなく、提出して承認されたり、実際のプレゼンで成果を出さなければなりません。

必ず報告書を提出したりプレゼンをすると、相手側から質問が出てきます。それは、作り手であるあなたにとっては当然と思っていることであったり、全く予想していないものであったりします。報告書やプレゼンの重要度が増せば増すほど、相手は内容をよく確認して疑問点を解消しようとします。なので、質問されないことは、ほとんど無いと思います。そんな大切な場面で、質問されたことに全く回答できないのでは、相手からの信頼感を失うことにつながりかねません。

それを防ぐには、何度もシミュレーションしてみることです。ただ、その時に相手はどういう立場の人かを想像したり、相手になったつもりでシミュレーションしてみます。すると、作り手であった時には気づかなかったものが見えてきます。その点を答えることができる様にしておけば、実際の場面でも過度に緊張することなく対応することができるでしょう。

不測の事態に備える

僕はよく若い人たちに「現場を歩いている時に、大きな地震が起きたらどうする?」とか、「現場を歩いている時に、機械が壊れて部品が飛んで来たらどうする?」と聞いてみます。これに対する反応は、「どうしましょう?」と質問返しする人と、「これをする」または「これだけはしない」と自分の意見を言う人に分かれます。

どうしたらよいか聞き返した人は、本当に分からないから聞き返しただけなのでしょう。けれど、いつ起こるかわからない不測の事態にあったときどうするかを、あまり考えていないのだろうと言うことが分かると思います。

地震に限らず、不測の事態はいつ起こるか分かりません。そんな時こそ慌てないように、時には「あれがどうなったら、どうしたら良いだろう」と想像してみることで、その場面に遭遇した時、適切な行動をとれる確率があがります。

「備えあれば憂いなし」

いかがでしたか。想像力を働かせる場面は、身近にたくさんあります。あなたが管理職であるならば、リスク管理の観点からも想像力は大事な能力の一つだと思います。

また、管理職ではない一般職であっても、想像力を働かせることで、いつもの仕事が更にスムーズに進むことでしょう。想像力を駆使することで、事前準備が整って後の作業に良い影響が出てきます。

想像力を使うということは、「備えあれば憂いなし」という状況を作り出す原動力であると、僕は考えいています。

これを読んでいるあなたも、部下や後輩に「こんなことが起こったら、どうしたら良い?」と聞いてみてはどうでしょうか。

それでは、この辺で。

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