新入社員教育が難しい五つの理由と三つの対策

これを読んでいるあなたは、新人教育で悩んだ経験がありませんか。僕は何度も新人が配属されるたびに「これで良いのか?」とか「何で思った通りに覚えてくれないのか」などと悩んでいました。

けれど今では、僕を育ててくれた先輩や上司も、同じように感じていたのではないかと思っています。

いつの時代も新人教育は非常に重要だと思いますが、同時に難しい課題です。

そんな新人教育の難しさと、どうしたら悩む事なく進めることができるのか、探っていきたいと思います。

人を育てるのは、何が難しいのか?

人を育てるのに一番大事なのは、「根気と忍耐力」だと思います。

なぜ、「根気と忍耐力」が必要なのでしょうか。それは、自分の仕事と教育を両立させなければならないからです。では、根気と忍耐力が必要な訳を挙げていきます。

一般常識と言われるものが、欠けている場合がある

全ての新人ではありませんが、一般常識と言われるものが、ちょっと足りない人がいます。提出物の期限を守れないとか、突然の休暇連絡をメールだけで済ませてしまうとか、人によって現れ方は様々です。

なぜ、そんな行動をするのか考えてみると、会社に入るまではそれで許されていたからではないでしょうか。提出物であれば、学生時代の宿題を忘れても期限が一日延ばしてもらえたり、休暇連絡であれば、学生時代は親が連絡してくれたため、自分で連絡するときは友達にするのと同じ感覚で一番手軽なメールを使うなど、理由はいろいろ推測できます。

ただ、教える側は「こんなことまで言わなければならないの」と疲れ切ってしまいます。

社内の常識が分からない

これは当然のことです。彼ら新人は全く別の世界から、僕やあなたのいる会社と言う世界に飛び込んできます。別の世界からやってきたので、会社の常識など知っているはずもありません。

けれど、教える側は会社と言う世界にいる時間が新入社員よりも長いので、会社の常識が身に沁みついています。だからこそ、会社の常識が分かっていない新入社員のことを理解できないことがあるのです。

新入社員が会社の常識を知らないのは当然だという意識を持っていないと、教える側は「なんでこんなことも分からないんだ」となり、教わる側は「常識と言われても、今初めて聞いたんだ」となり、お互いの意識がすれ違ってしまいます。

みんなそれぞれ違う人格

つい教える側は「新入社員」と一括りにして、前年・前々年の「新入社員」と比べてしまいます。その結果「去年の新入社員より覚えが悪い」と言う評価になりがちです。

でも、それは本当に今年の新入社員のできが悪いのでしょうか。ただ単にイメージだけで決めつけてはいないでしょうか。毎年入ってくる新入社員は、みんな別の人間で、能力も個性も人格も全員違います。なので、得手不得手もそれぞれ違って当たり前です。そこを忘れて去年の新入社員と比較しても、本当の優劣はつけられないと思います。

それでなくても人は相手の悪い部分によく目が行きますが、良い面には気づきづらいものですから。

全てを一から教えるのは、大変な労力

1-1.で書いた一般常識や1-2で書いた会社の常識も含まれますが、新入社員は仕事のことを何も分かっていません。その状態の人に、なぜ、その仕事を、どうやってやるのか、一から全て教えるには、大変な労力が必要です。

自分も同じような時期があったことを忘れて、相手には「これくらい少し考えたら分かるだろ」と思ってしまいます。この「少し考えたら」の考え方が新入社員は分からないのです。分かっている身からすると、「そこまで教えなければならないのか」となり、それが毎日続くと、なかなか辛いものです。そのうえ、一度で覚えてもらえないことも、気力が削がれる原因になります。

教える側が、諦めてしまう

1-1.~1-4.の状況が長く続けば続くほど、教える側の気力・体力・やる気が失われていきます。教えるというアクションに対して、覚えてできるというフィードバックが見えなかったり、同じことを何度も繰り返い聞かれるということが続くと、教える側の気持ちは「教えてもムダ」であったり「教えるヒマがあれば、自分でやったほうが早い」、「教える時間で自分の仕事を終わらせたい」と言うように、教育に対して後ろ向きになり、最後は新入社員の育成を諦めてしまいます。

本当は何があっても教える側が諦めてはダメなのに、成果が見えないと続けられないのは、僕も含めた多くの人が感じるものではないでしょうか。

どうしたら、うまく「新入社員教育」ができるのか

前項では、新入社員教育の難しさを考えてみました。それを踏まえて、うまく新入社員教育をするための心構えを考えてみました。

自分の常識は「新入社員の非常識」と心得る

新入社員は別世界からやってきた異邦人です。なので、一般常識や社内の常識が圧倒的に不足しています。そんな異邦人には、我々の住む世界の常識を覚えてもらわなければなりません。新入社員が約20年分蓄えてきた、それまでの世界観を作り変えるようなものですから、一朝一夕にできることではありません。

そういう前提で、慌てず時間をかけて我々の常識を身につけていってもらいましょう。

「〇〇世代」に惑わされない

毎年新人が配属となるころに、「今年の新入社員は○○世代」のような表現を聞きます。最近だと「ゆとり世代」であるとか「悟り世代」、僕が入社した30年前には「新人類」と言われていました。これはこれで、全体の傾向や特徴を端的に表す言葉で、もっともだと思うことがあります。けれど、新入社員と対する指導役はそれに惑わされてはいけません。

全体の傾向として「○○世代」と言われても、全員がその特徴に当てはまる訳ではありません。それぞれ個性も能力も違います。なので、まず教えるべき相手がどういう人間かを知ったうえで、効果のある教え方を考えるのが教える側の務めだと思います。

教える側の工夫が必要

配属されてくる新入社員は、当然いつも違う人物です。なので物覚えの良し悪し、要領の良し悪し、得手不得手など特徴がみんな違います。そんな違う個性の持ち主たちに、毎回同じような教え方をして、毎回うまくいくとは限りません。

一度で覚える人、何度も繰り返さないとダメな人、痛い目に合わなければ身につかない人、それぞれに適した教え方があるはずです。前の年にうまくいったからと言って、今年も同じ教え方で成功するとは限りません。

仕事の本質を忘れずに、相手によって教え方を変えるのは大変ですが、それが将来自分の職場のレベルアップにつながり、自分が楽になると思えば、がんばる気持ちになれるのではないでしょうか。

まとめ

いかがでしたか。もうすぐ新入社員が配属される時期ですが、あなたの心配が少しは軽くなりましたか。

最後になりますが、僕が去年受講した部下育成研修の講師が言っていた言葉が印象深かったので、ご紹介します。

「今の時代、新入社員を育てるのは、子供を育てるのと一緒」

核家族化や近所との関係が希薄になることで、子供のうちにある程度身につく社会の常識を、身につける機会がなく学生生活を終えて会社に入る若者が多くなっているそうです。

会社に入って、すぐには一人前にはなりませんが、将来新入社員がどう成長するかは僕やあなた、そして職場のメンバー一人ひとりにかかっています。一緒に頑張っていきましょう。

それでは、この辺で。

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