【検証】万年筆は仕事で使うのに適した筆記具なのか?

会社ではシャーペンとボールペンと万年筆を使い分けている、中間管理職あき庵です。

あなたは普段、会社でどんな筆記具をメインで使っていますか。シャーペンですか、ボールペンですか、それとも万年筆ですか。

僕の知る限り万年筆をメインに使っているのは少数派だと思います。

そんな少数派で万年筆初心者の僕が、万年筆に興味があるけど手が出せずに迷っているあなたに代わって、仕事で使えるのかを(できるだけ冷静に)お伝えします。

万年筆を使い始めるきっかけ

僕が万年筆を使い始めたのは、1年半くらい前の平成28年秋でした。その頃は中間管理職になって1年半が経ち、いろいろな場面で手書きすることが多くなっていました。

手書きはパソコンのキーボードを打つより考えをまとめやすかったり、レイアウトを気にせず書き込めたり、下書きでは非常に役立っていました。それだけではなく、会議に出る機会が増えて、そのメモをとることも必然的に増えました。

これだけ手書きをするのは、高校を卒業して以来なので、いろいろと気になることが出てきました。

手が疲れる

僕はもともと、筆圧が非常に弱いのです。シャーペンだと文字が薄くなりがちなので、濃いめのBの替芯を使っています。それでも字が薄いので、力を入れて書いていました。でもそれだと、すぐに腕がだるくなって長時間書くのは辛いのです。

硬い書き味が気になる

ボールペンだと、ゲルインクなどの低粘度インクならば少しはマシですが、あのボールが転がる硬い感じが気になります。そのため、コピー用紙に書き込む時には、下にノートなどクッションになるものを敷いて書くようにしています。

シャーペンはBの替芯なので柔らかめですが、僕にとっては硬く感じて不快でした。

シャーペンの文字は、ノートを見返した時に汚い

これが一番気になることです。

ノートを見返したときに、シャープで書いたページは黒く汚れていますよね。僕にはアレが許せないのです。

せっかく丁寧に書いたものでも、シャープで書くとカーボンが反対のページに移って、ひどく汚れてしまいます。僕の使っているBの替芯だとなおさらです。そんな黒ずんだページを読み直すのは、僕にとってこれ以上ない苦痛でした。

何度も見返すのなら、毎回黒く汚れたページを見るよりも、きれいなページを見たいのです。字が上手か下手かは別の問題ですが…。

なぜ万年筆だったのか?

万年筆を使い始めるまで、シャーペンやボールペンでの手書きで気になることはありましたが、そういうものだと諦めていました。

それが、ひとつの手帳と出会って変わりました。それが「トラベラーズノート」です。

トラベラーズノートと万年筆の関係

なぜ万年筆の話がトラベラーズノートの話になるか不思議ですよね。

それは2016年の春にさかのぼります。奥さんから誕生日プレゼントは何が良いか聞かれていました。ちょうど持ち歩き用の手帳を新しくしたいと思っていたので、せっかくの誕生日プレゼントなら長く使えるものをとネットで検索しました。そこでトラベラーズノートの記事が目にとまりました。

トラベラーズノート自体も魅力的でしたが、それと一緒に万年筆を使っている人がたくさんいるのに気づきました。

なんでも形から入ってしまう僕は、この時誕生日プレゼントにトラベラーズノートのパスポートサイズを頼むのと一緒に、本格的に万年筆を使おうと決意しました。

万年筆の書き心地

最初は試しにプラチナ万年筆の「プレピー」を使ってみました。少し硬い感じもありましたが、力を入れなくてもインクが出るので、シャーペンやボールペンよりも楽に書くことができました。これが200円とは驚きでした!

その後、セーラー万年筆のプロフィットJr、プロカラー透明感、プロフェッショナルギアΣとグレードアップ。書き心地はお値段に比例して良くなっていきました。

愛用しているプロフェッショナルギアΣは、本当にペン先が柔らかくて、ほとんど力を入れずに書くことができます。使い始めの頃は力を入れ過ぎると、ペン先を壊しそうで怖かったのを覚えています。

手間をかけるのが楽しい。

万年筆はインクの補充が欠かせません。その頻度はシャーペンやボールペンと比べものにならないくらい多いのです。

それもカートリッジならば簡単ですが、吸入式として使う場合は、インク瓶にペン先を差し込んでペン本体またはコンバータと言われる吸入器にインクを吸い込ませなければなりません。時にはペン先の洗浄もしなければならないので、手がかかります。

ただ僕の場合は、この少し面倒で手のかかるところを楽しむことができたので、1年半以上使い続けられたのだと思います。

ネットで見る限り、万年筆を使っている人の大半はインク補充や洗浄を楽しんでいるようでした。

万年筆の不便なところ

ここまでで僕が万年筆を使っている理由が分かったんじゃないかと思います。でも、使いづらいと感じることもあるんです。

キャップを開けっ放しにできない

基本的に万年筆のインクは水性です。なので、キャップを開けたまま放置すると、ペン先のインクが乾燥して書けなくなります

水やぬるま湯にペン先をつければ、すぐ書けるようになりますが、気をつけないと書きたい時に書けなくてイライラします。

紙質によっては滲んだり弾いたりする。

水性インクが多いので、紙質によっては滲んだり裏面にまで浸み込んだり、弾いて紙面にのびたりします。

こうなると、せっかくの文書が読みづらかったり汚くなったりで、読み返すのがイヤになります。

紙質を選ぶ筆記具なので、気を遣わなければなりません。

インクの補充や洗浄が面倒

先程も書きましたが、ボールペンやシャーペンに比べると、インク切れの時の手間がかかります。

カートリッジを交換するだけなら簡単ですが、吸入式や両用式だとインク瓶から補充しなければならないので、手が汚れたりして少し面倒です。

また、違う色のインクを使ったりするときには洗浄が欠かせません。洗浄には、ぬるま湯を吸入して排出してを何度も繰り返して、ぬるま湯の色が透明なるまで繰り返さなければなりません。時には一晩水に浸けておかなければなりません。

いつもではありませんが、時々手入れは必要です。

初期費用がかさむ

おそらく一番手を出しづらい理由がこれだと思います。

お安いものは数百円から、上は数十万円なかには百万円を超えるのものもあります。極端に高額なものは高級素材やブランドの付加価値がついていますが、普通に使うには1万円くらいまでのもので十分だと思います。

値段の違いが分かりやすいのはペン先の素材です。国産のお安いものや海外製の1万円程度のものは「鉄ペン」と呼ばれる鉄やステンレス製です。

国産だと定価1万円以上するものは「金ペン」と呼ばれ金が使われています。金ペンも14金から18金21金など、金の含有量によっても値段は変わってきます。

素材としてはペン先だけではなく、軸がプラスチックなどの樹脂製からセルロイド、金属などいろんなものがあります。そこに象嵌や蒔絵などの加工が施されることで、価値が上がっていきます。

その他に、吸入式として使う場合は瓶のインクが必要になります。ひと瓶数百円位から数千円と幅があります。どのメーカーのどんな色を使うかによって値段は変わります。

どう選ぶと良いか分からない

万年筆には太さがありますが、同じ表記でも微妙に違います。細い順にEF、F、FM、M、B、BBが一般的ですが、国産か輸入品かでも違いますし、メーカーによっても違いがあります

シャーペンやボールペンほど均一ではないため、思ったような太さで書けない時もあります。

こんな面倒な万年筆に、どんな魅力があるのか?

万年筆を使う敷居が高くなりそうなことばかり書いてきましたが、それでも使い続けるだけの魅力を僕は感じています。それをお教えします。

手が疲れづらい

筆圧の低い僕にとって、力を入れずにはっきりした字を書けるのは、大きな魅力です。力を入れずに書けるので、長時間書き続けても腕の疲れをあまり感じません。

手が疲れないので手書きに抵抗感がなくなって、さらに手書きをするというサイクルになっています。

字が下手でも、それなりに見える

他のペンで書いてみると下手でも、万年筆だとそれなりに味のある字に見えてきます。インクの色や濃淡で、そういう風に見えるのだと思います。

それなりに味のある字に見えるので、多少下手な字でも見直すことに抵抗感がなくなります。

世界でただ一つのペンになる

万年筆は、使い続けるとペン先が少しづつすり減って形が変わります。それは使う人の持ち方や力の入れ具合で変わるので、長く使えば使うほど持ち主の使いやすいものになっていきます。柔らかい金ペンだと余計にそうなります。

本当の意味で「世界にただ一つ」自分専用の筆記具になっていくのは、楽しみの一つです。

場面を選べば、万年筆は仕事でも使える

ここまで僕の考える万年筆のメリットとデメリットを書いてきましたが、最終的な結論として万年筆は仕事で使えます。ただし、使う場面は選びます。

インクが乾きやすく、書いていないときはキャップをつけなければならないという特性上、会議のメモにはあまり向かないと思います。

また、力を入れすぎるとペン先が壊れてしまうので、契約書などの複写式のものには向きません

そんな訳で、使える場面は比較的時間の制約がなく、複写などを必要としないときに使うことになります。

具体的に僕の使い道は、提出された報告書等のチェックや自分で書類を作るときの下書き、スケジュール帳やノートへの書き込みに使っています。会議のメモなどはボールペンをメインにしています。

使い分けは必要ですが、仕事に趣味性の高いものを取り入れることで、楽しく仕事ができるようになります。

まとめ

いかがでしたか。仕事で使うには場面を選びますが、万年筆は十分使えるものだと思います。

もし万年筆を使ってみたいと思っていて迷っているなら、参考になりましたか?

仕事で面倒なことを極力省きたいのであれば、万年筆は仕事使いに向いていない筆記具だと思います。ただ、あなたがその面倒さを気分転換の手段や心の余裕として楽しめるのであれば、一度使ってみる価値があると思います。

ちなみに、僕が愛用していてるなかで、一番お勧めできる万年筆はこちら。

国産の老舗メーカー、パイロットの「カスタムヘリテイジ92」。こちらは14金ペン先にロジウムメッキがされているので、悪目立ちせず落ち着いた雰囲気です。吸入式なのでお手入れがちょっと面倒ですが、透明軸ならではのインク色を楽しめるのもいいところ。僕が使っているのは濃淡の出やすい太さ「B」。もちろん書き味は柔らかく非常に使いやすいです。
どんなものも使い方次第です。楽しく仕事をするために、自分の趣味を取り入れてみてはどうでしょうか。
こちらでは、僕がTwitterに投稿している手書きツイートが見られます。

それでは、この辺で。

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